GOTH-TRAD「GOTH-TRAD I」

GOTH-TRAD ITitle : GOTH-TRAD I
Artist : GOTH-TRAD
No : EWBE-0007
Price : ¥2300(税込み)
Release : 2003/4/21

 ゴス・トラッドのこの力のこもったアルバムを聴くとき、誰もが否応なしに暗い時代の現実と対峙しなければならない。毎日のニュースのなかで現在アメリカ政府がみせている傲慢な暴力にイギリスのみならず日本政府も案の定逆らえないでいる。反アメリカ主義はヒステリックな声を上げているが、それとて右傾化する日本の流れに即した動きに回収されかねない。新自由主義を突きつけられた世界では、社会的な弱者はもはや国の経済復興に甘い望みをたくすなど冗談にもならない状況で、DJカルチャーの主流も市場経済原理に身を委ねるグローバル経済主義のおこぼれを取りこぼさないことで必死だ。音楽は趣味であり、もちろん趣味でもかまわないのだが、少なくとも何人かの人間は大いなる無力感のなかにいるし、それだけでは納得できない大きな欲望を抱えた人たちもいる。こんな時代のなかで菊地成孔は政治的混乱と一見その対極にある華やかな消費社会の虚無をジャズで表し、九州のシンリ・シュープリームは否定の力をもってノイズの洪水をかき鳴らし、レベル・ファミリアは彼らの抵抗をその重厚なダブに託してい。そしてゴストラッドもまた、身の毛もよだつようなノイズとカオスを創造し、それを1枚のアルバムにまとめあげた。とにかくすごいアルバムだ。強引な言い方だが、アルバムにはデトロイトのアーバン・トライブによる『近代文化の崩壊』とアレック・エンパイアのファーストを足して割ったようなメランコリーがメタリックなノイズの砂嵐からできたビートとともにある。ヒップホップとテクノをことごとく切り刻み撹乱させ、怒りを持って吐き出したような音楽だ。アルバムはその名前の通りゴシックでもある。つまり、鋭い稲妻が走る闇夜がよく似合う音楽だ。ちなみにゴストラッドはレベル・ファミリアのメンバーでもある。
 これはダンス・カルチャーの極北であると同時に、若く新鮮なエネルギーの結実だ。音楽はつねに時代のなかで更新されていく。無力感を克服し、前に進むときが来たようだ。かつてジョン・ライドンはこう歌った。「物事を極め、真実を見つめる目が必要な時代が来たんだよ」(アイ・ウォナ・ビー・ミー)
野田努

Musician & Personnel

GOTH-TRAD:noise instruments,electronics
paul PM:vocal

 Song titleMusic/WordsTimeiTunesTry
1LIGHT A SIGNAL FIREGOTH-TRAD0:06:09 試聴ボタン
2WEAPONS OF SOCIETY feat. Paul PMGOTH-TRAD0:07:16 試聴ボタン
3ONESELFGOTH-TRAD0:08:38 試聴ボタン
4ARTIFICIAL DISASTERGOTH-TRAD0:07:26 試聴ボタン
5SHOUT A BATLLE CRY feat. Paul PMGOTH-TRAD0:09:17 試聴ボタン
6MIND CONSTRUCTION [IMPROVISATION LIVE] IGOTH-TRAD0:07:47 試聴ボタン
7IIGOTH-TRAD0:08:14 試聴ボタン
8IIIGOTH-TRAD0:06:17 試聴ボタン
9VGOTH-TRAD0:06:40 試聴ボタン
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