Title : ラ・クンパルシータ
Artist : サルガヴォ
No : INTD-1015
Price : ¥2100(税込み)
Release : 2010/6/23
ここはピアソラの見た夢の向こう側、すべての楽器が縦横無断に絡み合い、秩序を混沌を行き来する。聴こえてくるのは唯一無二のSalle Gaveauという音宇宙。
2003年、鬼怒無月が「新しい音楽の可能性」を説いて集めたメンバーによる、ポスト・ピアソラミュージックを目指す五重奏団(キンテート)。ヴァイオリン、ギター、ピアノ、ベースと、バンドネオンをアコーディオンへ変更することで、タンゴを超えて音楽の可能性を飛躍的に広げた。2007年1月、1stアルバム「Alloy」を発表。4月には"Rock In Opposition 2007 France Event" (France)に、Magma,Faustらと共に出演。2008年にはシンガポールのモザイクミュージックフェスティバルにも出演し、その6月には待望の2ndアルバム「Strange Device」を発表。さらに8月にはドイツ、オランダ、フランス、オーストリア、イタリアの5カ国を巡るツアーを成功させ、9月にはパリの日本文化会館にて行われた国際交流基金主催による「Jazz in Japan 2008」に出演し海外からも高い評価を得ている。2010年には国内ツアー後、再度ヨーロッパツアーも予定しており、「世界の Salle Gaveau」としての注目を集めている。
Personnel :
鬼怒 無月(Natsuki KIDO)<<guitar>>
喜多 直毅(Naoki KITA)<<violin>>
佐藤 芳明(Yoshiaki SATO)<<accordion>>
鳥越 啓介(Keisuke TORIGOE)<<contrabass>>
林 正樹(Masaki HAYASHI)<<piano>>
作曲者、編曲者本人による楽曲解説
① 「ラ・クンパルシータ」 La Cumparsita
(作曲 Gerardo Matos Rodriguez)
(編曲 佐藤芳明)
〜古典曲のサルガヴォ的解釈〜
この曲は3つのアイデアから成り立っている。出発点は、「リフだけで構成されるような曲」のイメージ。各パートがリフだけで構成されて、それがいくつも連なる形で曲になっているというもの。もうひとつは「タンゴの古典的な曲をサルガヴォ的に解釈する」というもの。サルガヴォの為に曲を書く際、これまでは「ピアソラが進化したようなもの」をイメージして曲を書くことが多かったが、タンゴのスタンダード曲に挑戦するというアイデアは以前から温めていた。ちなみに'スタンダードの解体的アレンジ'もしくは'毒の盛り方'については、尊敬するピアニストの一人である田中信正さん(*1)が得意とする手法(*2)を参考にしている。それから、テンポの設定として参考にしたのがピアソラの『Tanguedia Ⅲ』(*3)。ロンド形式のごとく最初の主題に戻って、それぞれが徐々にテンポアップしていくという、独特のテンポ設定。これらのアイデアが、『悪魔にやられた悪魔』を書いている最中だったのにもかかわらずムクムクと形になり始め、2日ほどであっという間に出来上がってしまった。 (佐藤)
*1.フランス留学から帰ってきて一番驚いたピアニスト。現在ではドラム:森山威男さんのバンドに共に在籍しているが、未だに憧れ続ける存在。
*2.彼の手にかかると、例えば『Autumn Leaves(枯葉)』も『Billie's Bounce』(共に彼のソロアルバム「Mummy's Dance」収録)も、原曲のモチーフがきちんと生かされた、しかし全く別の曲に生まれ変わる。
*3.Astor Piazzolla「Tango:Zero Hour」に収録。
② 「童話で書かれた生態系」 Ecosistema representado por cuentos infantiles
(作曲 林正樹)
この曲は僕が思う、快活でありユーモラスなSalle Gaveauの一面を表現。タイトルは、ペペトルメントアスカラールでお世話になってる菊地成孔さんに命名して戴いた。菊地氏のタイトルにより、この曲が未知の次元に浮遊し始めた。 と僕は勝手に思っている。 (林)
③ 「悪魔にやられた悪魔」 Endiablamos al Diablo
(作曲 佐藤芳明)
〜ピアソラ『悪魔をやっつけろ』への回答〜
学生時代に聴いて衝撃だったもののひとつ、「ニューヨークのアストル・ピアソラ」(*1)に収録されている、『悪魔をやっつけろ』(*2)に対する自分なりの回答、と言えば聞こえが良いが、リズム形のアイデアを頂戴したというのが正直なところ。『悪魔をやっつけろ』は7拍子だが、それ風にと思って作っていたら9拍子になってしまった。弾き辛いかもしれないと思いつつ書きかけの状態でリハーサルに持っていったら、メンバーの皆さんは涼しい顔で弾いていたので、ヴァイオリン・ソロ後にややこしいユニゾンパートを付け加えてみた。タイトルは、「やっつけろ」に衝撃を受けたワケだから「やられた」しかないと思ったのだが、スペイン語のタイトルも付けたいと思い、バンドネオン奏者:北村聡さんに相談、彼が紹介してくれた名古屋大学:西村秀人さんが元のタイトルをもじった形でつけて下さった。 (佐藤)
*1.「CONCIERTO EN EL PHILHARMONIC HALL DE NUEVA YORK / Astor Piazzolla Quinteto」
*2.邦題『悪魔をやっつけろ』→原題「VAYAMOS AL DIABLO」
④ 「雨は午後三時に」 Rain at 3:00PM.
(作曲 鬼怒無月)
最初の着想としては喜多直毅君のヴァイオリンの音色と繊細な歌い回しをフィーチャーした曲を作るという事でした。これは僕にとっては最もハードルの高い事で、そういう曲を作ろうと思い立ってから1年近くの月日が流れてしまいました。やっと形になったのは'09年の8/12日、譜面には仮タイトルとして「8/12」という日付が記されています。タイトルは後付けなのですが僕のイメージは若い頃読んだレイブラッドベリの「火星年代記」の中の「優しく雨ぞ降りしきる」という一編。
核戦争で焼け残った家の壁に家の住人のシルエットのみが焼き付けられているという悲しくも残酷な静寂のイメージが僕の心にずっと残っており、曲のタイトルを考えている時にその話をふと思い出してそのイメージからこのタイトルを紡ぎだしました。人類が死に絶えた世界の初夏の素敵な昼下がりに雨が降ってくるという・・・。 (鬼怒)
⑤ 「影絵遊び」 Magic shadow show
(作曲 喜多直毅)
今回のレコーディングの為、増改築の末に出来上がった曲。冒頭と終末に現れる6/8拍子のテーマは、鬼怒無月氏のグループ"Warehouse"の為に書いたもの。自分らしくない音楽を作ってみようと作曲に取り掛かった結果、思いの外可愛らしく牧歌的なメロディーが生まれて作曲者自身が驚いた。対して、楽曲後半部分のBmの部分は、以前作った『影法師』と言う歌からの抜粋。
以下は歌詞の一部。
裏庭隔てたおんぼろアパート
お通夜と言うのにやけに騒がしい
聞こえて来るのは諍いの声と
罵る声の合間のすすり泣き
『影法師/作詞作曲:喜多直毅』より
勿論インストゥルメンタル曲である以上、歌詞の内容は聴き手に伝わる由も無いが、作曲者はこれを念としてメロディや編曲に封じ込めた(つもりである)。以上の様な二つの部分を、オルゴールや童女の声と言った一見あどけない要素で結合。また軽やかなピアノソロや惚けた様なヴァイオリンソロ、ノイジーなギターフレーズ等を配置し、演奏の進行と共に徐々に音楽に陰りや歪みを加えた。可愛らしさ、純粋さ、善良さを身に纏った影絵人形達がスクリーンに投射される時、映し出される影が実像の持つ特質を反転して醜悪だったり、その振る舞いが邪悪だったりしたならば面白い。この様に表れに対して様々な角度から"へそまがり光線"を照射する事によって、人間の営みをアイロニカルに風刺する音楽的影絵芝居の創出を目指した。結果、良くも悪くも作曲者自身の歪んだ人間観を反映する作品となったと思う。 (喜多)
⑥ 「年に三度の日曜日」 Three Sundays in a Year
(作曲 鬼怒無月)
これは典型的なSalle Gaveauナンバー。僕がグループを立ち上げる時に参考にしたアストルピアソラの音楽をSalle Gaveau流に咀嚼して吐き出した、誤解を恐れずに言えばコンテンポラリータンゴロック。僕の大好きなピアソラの「ミケランジェロ 70」的なベースの4ビートと付点8分の単純な、しかし強力なポリリズムによって生み出されるグルーブと何よりひたすら猛進する熱
さ。宿命的に知的にコントロールされた方向に向かってしまうプログレッシブミュージックの対局にある情熱的なプログレッシブロック。タイトルは斯界の大先輩である鈴木慶一さんによるもので、エドガー・アラン・ポーの「週に三度の日曜日」のもじりだそう。曲の中間部の違う時を刻むギター、バイオリン、リズムセクションの3つが一つになる箇所がそのタイトルを思いつかせたのだろうか?? (鬼怒)
⑦ 「ロジウラのトゥランブラン 」 Saya melihat terang bulan di gang
(作曲 佐藤芳明)
〜ショスタコーヴィチとハバネラ〜
ある時思い出して頭の中をグルグルしてしまったのが、ショスタコーヴィチ『24のプレリュードとフーガ』(*1)第5番のプレリュードのメロディー。もともとDメジャー(ニ長調)なのに、何故か平行調のBマイナー(ロ短調)に思えてきてしまい、頭の中で徐々に別の曲のようになってきて、気が付いたら5拍子になってしまっていたものが、この曲のモチーフとなる。リズム形(ベースパターン)については、よりピアソラっぽいラインを試したのだが、「ハバネラ+1拍」のパターンの方が淡々としたメロディーに馴染むことが判明、即採用。ちなみに「ハバネラ」については以前から気になっていて(*2)、いつか自分でも「ハバネラ」で曲を書きたいと思っていたのだが、1拍増やして5拍子にあわせるカタチになってしまった。この曲が出来た直後、名古屋のカフェ「ロジウラのマタハリ〜春光乍洩」の開店8周年記念ライブがあり、この曲をプレゼント。タイトルは同店の美尾りりこさん、武田信吾さんと共に考え、店名の「マタハリ」(インドネシア語で太陽)に対して「トゥラン・ブラン」(インドネシア語で満月)とした。(折角なので海外用の表記もインドネシア語に。) (佐藤)
*1.ショスタコーヴィチ本人が初演に指名したタチアナ・ニコラーエヴァの録音より、キース・ジャレットの録音(ECM New Series)の方がお気に入り。
*2.リズム形としての「ハバネラ」を意識するようになったのはDaniel Goyone作曲「Havanera pour un clown」(佐藤の師であるDaniel Milleのアルバム「Le Funamble」に収録)を聴いて以来。
⑧ 「行進するライナセロスヴァイパー」 Rhinoceros vipers marched
(作曲 鬼怒無月)
何の確証もないのだがピアソラは伊福部昭というかゴジラが好きだったのではと僕は勝手に思っている。これは僕がピアソラナンバーの中で1、2を争う程好きな「コントラバヒシモ」の、僕が伊福部的と感じてしまう土着的ビートをよりロック的に演奏したら、という命題のもとに作曲した曲。Salle Gaveau流のヘビーロックである。このタイトルも鈴木慶一さんによるものでライノセラス ヴァイパーという怪物の様な毒蛇の行進というまさに怪獣映画的なこの曲にぴったりの曲名を考えてくれた。終盤の僕と佐藤君のアコーディオンによる掛け合いはさながらサンダ対ガイラの対決のようでもある。 (鬼怒)
⑨ 「神保町夕暮れ」 Afterglow above Jumbo-cho
(作曲 喜多直毅)
東京の真ん中で偶然友人・知人に出くわす事があります。Aさんとは銀座の路上でバッタリ、Bさんとは灯ともし頃の新宿三丁目で、Cさんとは丸の内のオフィス街でお会いしました。皆さん、その街の風景に馴染んでいらして、お会いした場所とそれぞれの見た目やひととなりにさえ、何やら深い繋がりを感じてしまう程でした。そう言えば写真家のIさんとは...、黄昏時の神保町でお会いする様な気がします。僕の勝手なイメージですが、Iさんには夕暮れの学生街が似合うと思うのです。若し出会ったならば喫茶店にでも入り、青春時代の思い出話をゆっくり伺ってみたいものです。この曲は、そんなIさんの思い出話を僕が勝手に想像して音楽化したものです。想像上の神保町で出会ったIさんが語る想像上の思い出話。僕の個人的なファンタジーに過ぎません。でもこの神保町の夕焼け空が、聴いて下さる方の若き日々を過ごした街の空と何処かで繋がっていたならば嬉しく思います。 (喜多)
⑩ 「ぐちゃぐちゃな秩序」 Messy order
(作曲 鳥越啓介)
題名通りそのまんまな感じの曲です。僕が思う Salle Gaveau のイメージで書いてみました。ファンの方には分かっていただけるのでは(笑) (鳥越)
<< Salle Gaveau 3rdアルバム「La Cumparsita 」発売記念ツアー>>
2010年
6/22(火)六本木 STB139 03-5474-0139 OPEN 18:00 / START 19:30 前売り\4,000(メンバーの手売りのみ) 当日 \4,500 共にオーダー別 自由席のみ
7/6 (火)福島 AS SOON AS 024-524-0750 OPEN 19:00 / START 20:00 前売り\3,500 当日\4,000(+order)
7/7 (水)白石 カフェ・ミルトン 022-426-1436 OPEN 18:30 / START 19:30 \4,000(+order)
7/8 (木)盛岡 すぺいん倶楽部 019-654-2055 OPEN 19:00 / START 19:30 前売り¥4,000 当日¥4,500 (w/d)
7/9 (金)高崎 カフェ・アンティーク ランディ 027-361-7758 OPEN 19:00 / START 19:30 \3,500(1drink付)
7/13(火)岡山 城下公会堂
086-234-5260 OPEN 19:00 / START 19:30 前売り\3,800 当日\4,300(共に1ドリンク別途\500) 限定座り70名
7/14(水)広島 オリエンタルホテル広島3F 天使のチャペル 082-240-7111 OPEN 18:30 / START19:00 前売り\4,000 当日\4,500
7/15(木)大阪 Mister Kelly's 06-6342-5821 OPEN 17:30 / START 19:30 charge:¥4500(+order)
7/16(金)名古屋 ボトムライン 052-741-1620 OPEN 18:30 / START 19:30 前売\3,500 当日\4,000(+order)
7/17(土)甲府 桜座 055-233-2031 OPEN 17:30 / START 18:00 前売\3,500 当日\4,000(+order)
7/18(日)豊橋 ジャズ・イン・チェロキー 090-3443-6359 OPEN 18:00 / START 19:00 前売\3,000 当日\3,500(+order)
他、国内ライブ情報
8/4(水)
Salle Gaveau
関内KAMOME 045-662-5357
OPEN 18:00 / START 20:00 \4,000 (+order)
8/10(火)
Salle Gaveau + スペシャルゲスト:吉田達也(ds)
新宿PIT-INN 03-3354-2024
OPEN 19:30 / START20:00 \3,000 (w/d)
*7/1(木)11:00-より会場にて予約(開場時優先入場)受付開始。
■Salle Gaveau ヨーロッパ公演 情報
2010/9/25 - 2010/10/5 ヨーロッパ公演決定!詳細はWEB等で随時発表。
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